東洋医学における治療方法は、鍼灸と漢方ですが、「聖人はすでに病みたるを治さず、いまだ病まざるを治す」(四気調神大論篇)と伝えられ、この概念を未病治(治未病)といいます。未病とは、病気と健康の間ですが、健康であっても病気の手前の状態を未病と言います。検査結果は一応正常値ですが異常値に近い体または心の状態を未病といいます。この未病の状態から健康の状態に戻すこと過程を養生といいます。
東洋医学は、病気を治すというより病気にさせない医療に力点がおかれます。また、病気の場合も病気そのものよりその原因となった体全体を診て治療を行います。対処療法の近代西洋医学との大きな相違でもあります。
昨今、特に鍼灸はアフリカ、アセアン等で見直され評価されてきています。WHOでも鍼灸の効果を認めて公表しています。
しかし、我が国の鍼灸は、近代西洋医学からかけ離れ独自の医療の世界を構築してきたのですが、東洋医学だけでは患者を救うことはできず、やはり近代西洋医学の果たす医療の役割は大きく最重要だと考えます。我が国における東洋医学は現在のところ近代西洋医学に対する補完医療の段階を超えていないと考えます。そのような時代の中で、最近は、一部に近代西洋医学の限界を感じ、伝統東洋医学等を統合する統合医療を検討している医療人も増え始めて来ています。
統合医療とは、その近代西洋医学と治未病の概念を大切にする東洋医学等とを統合した医療をいいます。統合医療は、近代西洋医学と東洋医学等との併用医学ではなく両医学を体系的にとらえて考える医療をいいます。